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数時間は経っただろうか。
雪の国の殆どを二人で周りつくした。
「見つかりませんね」
「そうか。精霊は気まぐれだからな」
探し精霊は当然、見つかるはずなどない。だって、あの日彼女を助けたのは僕なのだから。
(あれ、でもおかしいな。あれから僕の姿はそこまで変わっていない。なぜ彼女は僕に礼を言いに来ないんだ?)
僕は白々しくも次のような問いかけを行った。
「人の子よ、思い出の精霊は一体どんな姿をしているのだ?」
「はい。とても凛々しい顔立ちの、背の高い精霊様でございました。流れるような長い黒の髪に、金の瞳、渋くてダンディーなお声でした」
(???)
僕は首を傾げる。
それは絶対に僕じゃない。
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