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V
「で、全然関係ない精霊に挨拶しにいったってか」
雪の城の玉座に帰るとヨルクが僕の帰りを待ってくれていた。僕のために注がれたシロップ塗れのアイスティーがほろ苦い。
「すごくいい笑顔だったんだ。ズルい。あの笑顔は僕に向けられるはずだったモノなのに」
「いいじゃないか。ペンダント泥棒も押し付けてしまえ」
ヨルクはやっぱり気がついていた。僕の道は二つに、一つだと示される。
「正直にペンダントの件を話して雪の女王に半殺しにされるか、それともこのまま嘘をつき続けて雪の女王をやり過ごすかだな。どちにしろペンダントは人間界に返すべきだ」
「......あのペンダントなんだけどさ、実はーー」
僕はヨルクにペンダントを壊してしまったことを打ち明けようとした。そのとき、人間のよくわからない工作物が僕の耳を掠めた。
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