VI

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*  僕たちは雪の中に立っている。  ヨルクは魔法で大きな氷を弓にして彼女を殺す準備をしていた。 「3年前に枯れていたはずの花だ。お前が手折っても誰も責めはしないし、心を痛めるほどの価値はない」  本当にそうだろうか。僕はこの3年を思い返す。彼女の笑顔が見たくて、再会できるのを望んで。あの日の思い出だけを糧にお母様の帝王学に耐えてきたのだ。  ちょっと思い出補正が強かったけれど、それでも彼女は僕にとって大切な女の子なのだ。 「......出来ない」  僕はあの子を救いたい、助けたい。 「僕には出来ない......他に、何か方法が......」
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