VII

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 私はお兄様の言葉を信じて、お母様の形見のペンダントを勝手に持ち出した。雪の女王の居るという山に向かって歩き出し、死の直前まで追い詰められた。  “ーーーーーー”  精霊様の言葉は凍っていた私の心を融かしたのだ。  城に帰った私を兄達が取り囲んでこう聞いた。 「おい、ペンダントを持っているな?」  身ぐるみを剥がされても私はもうペンダントを持っていなかった。あれがどんなに大事で価値のあるものか皆わかっているから血眼になって探していた。私の部屋も持ち物も全てを壊された。  一つ上の兄はどうして私にペンダントを盗ませたのだろう。私は兄に聞いた。 「なんだ、残念。お前がペンダントを持っていて兄上に殴られる様子が見たかったのに」  私は一つ上の兄を殺した。  私は二つ上の姉を殺した。  三つ上の、四つ上のーー。  そうして私は頂点に立ったのだ。 ***
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