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 一面が氷で出来た城の玉座で、僕は側近のヨルクに呆れた顔をされていた。雪の精霊の中でも細くて神経質な顔をした男だ。 「エルマー、その話何回するんだ?」 「思い出は浸るためにあるものさ。僕の初恋なんだ。あの女の子に出会ったから僕は真面目に今の立場になるために勉強し始めたのだし」  氷の城の窓からは百里先までの雪が見える。今年の人間界は何日も降り積もる大雪の予想だ。先ぶれの雪が既にチラホラと積もり始めていた。 「あの女の子もまさか3年で雪の女王が代替わりするなんて思いもしなかったろう。僕が雪の王になったからには、僕に会った人間に何でも一つ願いを叶えてやっても良いくらいだ。ーーヨルク、ペンダント見るかい?」 「見ねぇよバカ」  ヨルクは僕のプリティチャーミーな茶色のくせっ毛をはたいた。この話になるといつも素っ気ない。雪の女王の六番目の息子であり、精霊界一の美貌を持つ僕をはたくなんてヨルクでなければ玉座の横に飾ってある氷で刺して殺してやるところだった。  ヨルクは玉座の周りに古くて赤い絨毯をひくよう指示をし始めた。何をしているのか問うと来客準備だという。 「忘れたのか? 今日は人間の使者が来るだろ」 「何しに来るんだっけ?」
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