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人の子と雪の精霊に基本的に関わりはない。いや、なかった。今までは僕達が気紛れに姿を見せるくらいだったけれど、最近、人の子は僕達をレンキンジュツとやらで見つけるようになってきて、この雪の国にまで足をのばしてくることがあった。
「ご挨拶だとさ。人間はもうずっと戦争をしていただろう。やっと統一国家が出来たんだ」
「なんでそんな面倒な争いを」
「知らないのか? 人間の国で1番大きい国の後継者争いで大荒れだったんだ。人間界の秘宝がなくなったとかで血で血を洗う大戦争だったんだ」
「ふーん」
近年、女王に「僕が王になる!」と言ってしまってから、僕は雪の女王のスパルタに付き合わされていた。だから人間の国がそんなことになっていたのは初耳だ。
僕の頭の中はその使者があの女の子で、また会えたらいいなってことばっかりだった。とんでもなく可愛い女の子だった。三年でどう成長しただろうか。
(もし彼女が来たならば運命に違いない。雪の女王はお気に入りの人間を拐かして暫く手元に置いていたけれど、僕は凍らせて氷像にして置いても良いな)
そう、考えていた。
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