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II
約束の時間、氷の城にやってきた使者は背の高い武人の女と若いフードの男、そして4人の文官だった。
僕はあの女の子が来ていなかったから、早々に興味を失っていた。帰りたい。武人の女は膝をついて下を向いたまま僕に声を掛けた。他を威圧するような低くて大きな声だ。
「雪の女王にお会いしたく」
「えっ、お母様に?」
素で聞き返した僕にヨルクが耳打ちする。
「人間は雪の女王がご隠居されたことを知らない。お前だよお前」
全く、人間はわかりにくい。
僕は玉座にふんぞり返って氷で出来た王冠をくいっとあげた。
「よく来たな人間。僕は雪の王エルマー。雪の女王に代わり、この地を治めている精霊だ。面を上げよ。お前は誰だ」
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