IV

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IV

「雪の王自ら雪の国を案内していただくなど、恐悦至極に存じます」  次の日、僕はイゾルデと共に雪の国の村々を訪れていた。雪が無ければ生きていけない雪の精霊たちは皆針葉樹の隙間や氷の家、雪の積もる音の狭間などに住んでいる。ただの人間の前には姿を現すことは滅多にないため、こうして僕が案内人をかって出た。......監視も兼ねて。 (どうしよう人間界の秘宝、壊しちゃったよ。「【悲報】雪の王、人間界の秘宝を壊す」みたいになってるよ)  僕は一面の銀世界の中、背中を流れる滝汗を悟られないようにしながら次々と精霊に面通しをさせていった。 「ヘタレの雪の王! おバカの雪の王! 今日は人間を連れてるの!?」 「魔力はあるのにノーコンの雪の王! また大きな雪だるまを作ってママに叱られるの??」 「うるさいぞ。協力しろ」  精霊の中には僕を嗤うモノも少なくない。僕は王になりたてでまだまだ求心力というものがないからだ。これがお母様だったら一瞬で精霊を黙らせただろう。 「ふふ」 「何がおかしい」  僕は不貞腐れそうになった。 「私も女王になりたてですから。侮られることが多いのです」  そう言った彼女の瞳は重く揺れていた。
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