その声は媚薬

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「一時期専門のスクールに通った事もありました。けど、才能なくて……努力してやっと人並み程度………成功するのはほんの一握りの世界で俺みたいな半端者の需要なんかないって痛感させられました」 自虐的に「ははっ……」と力なく笑ってみせる久世さん。 「努力すれば夢は叶うなんて、そんなの成功者のみが言える台詞ですよね。世の中努力したってどうにもならない事ばかりだし……」 久世さんの言葉から彼の無念さが感じ取れる。 そして彼の言葉に共感させられた。 努力すれば夢が叶うのなら、皆が皆とっくのとうに夢を叶えている筈だ。 勿論自分次第が大前提ではあるけれど、生まれ持った才能、環境、経済力、運………他の要素もあってこそ、やっと夢を叶えられるんだと思う。 「………でも、やっぱり諦め切れなくて……30近い歳なんですけどね。未練たらたら。声優の真似事のような音声撮って配信して………自己満足に浸ってたんです…」 久世さんが語る内容に切なくなる一方で、いつも聞いている大好きな声で弱音を吐かれている状況に胸の高鳴りが止まない。 いつも視聴している音声チャンネルでは、視聴者に自信満々に語り掛けてくるリューク。 その彼から弱音を聞けるとは……と、状況に反して感動すら覚えてしまっている。 自分がここまで変態………いや、リュークの声に惚れ込んでいようとは。 自分事ながら驚きを隠せないでいる。

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