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何気ない日々
「とわ」
といきなり傘宮先輩が後ろから現れたのでびっくりして
「ひゃっ」
なんて声にならないような声を出してしまう。
「ごめん、そんなに驚いた?」
としゅんとする傘宮先輩。
「ううん、大丈夫だよ。」
ほんとは大丈夫なんかじゃない。私の心は死にそうなんですけど。いい意味で。この距離は近くないですか?先輩、、、
「それにしても釆羽はすげーな。ほぼ学年トップじゃん!」
そう今私は華夜と前におこなった期末テストの順位表を見ていたはずなんだけどドキドキさせられている。勿論先輩に。
テストの結果なんかよりも私は
バシッ
と隣にいた華夜に叩かれた。そして口パクで
「の ろ け て ん の ば れ ば れ」
と言われてしまった。確かに頬が緩んでる、かもしれない。
「そんなことありませんよ。ただあいt、、、親の役にたちたいだけです。」
そう、あいつが私を学校に行かせる理由はただ娘の儲けたお金が欲しいだけ。
でも、お返ししないととは思う。だってあいつは一人で私を育てあげてきたんだから、、、
「なぁ、今日四人でカラオケ行かね?」
と前田先輩。あ、いい忘れてたけど前田先輩は華夜の従兄弟だ。
「そうだね、行くか。」
「お前、彼氏持ちなのにそんなことしてて大丈夫なのかぁ?w」
「はぁ?!」
仲が悪いのか悪くないのか、前田先輩は見てて少し楽しい。だって、、、彼氏持ちの従兄弟が好きです!って顔で華夜のことを見ているから。
まぁ私は適当にがんばれーと応援しとくのみだ。棒読みすぎたかな笑
そんな感じで2人を眺めてたら傘宮先輩が
「采羽、あいつのこと見過ぎ。」
私の頬をつまみながそう言った。なにこのご褒美?!
「そうですか?先輩。」
できるだけ冷静に、、、冷静に
「うん。罰として俺のこと朔久って呼べよ。」
と怪しい笑い方をして言ってきた。明らかに遊んでいるだろ。おい、じゃなくて、名前呼び?え、嘘。嬉し恥ずかしい。あれ、こんな日本語あったけ?
えーとえーと、なんて言えば、、、!もうここは
「朔久、さん。」
さん付けで行けばいいのだ。
「さんは無しだよ。ずるいなぁ。采羽は。」
なら、くんで行けば、、、
「あ、ちなみに君呼びは無しだからね。もうわかるよね。」
「さ、朔久」
完敗だ。この人には勝てる自信がない。
「うん。いいこ。いいこ。」
と頭を撫でてくる。髪が崩れるじゃんっ!けど傘宮せん、、、朔久だから許す。
「あのー2人の世界を作ってるとこ申し訳ないんですけどーそろそろ戻ってきてくれますかー?」
という棒読み確実の華夜の言葉で私たちは周りの音がシャットダウンしてることに気づいた。えっと、なんだっけ・・・
「なんて言ってたの?ごめん。」
「はぁ、これだから」
どうやらカラオケの行く時間を決めようとしていたらしい。今日はなにもないはずだよね。カラオケかぁ、久々に朔久の歌声聴けるなぁ。ダメダメ。顔がへにゃってなっちゃう。私たち四人は楽しい時間を過ごしたのだった。
「またねー!」
帰り道が正反対な華夜たちとは別れ、朔久と二人きりになってしまった。うぅ、なんか緊張する。幸せだな。でも家に帰ったらそんな幸せの時間も壊れてしまう。
「喜んだと思えば、暗い顔して、、、どうしたん?」
「え、?えっと、、」
「無理に話さんくていいから。」
私はそう言われた直後に家のことを話した。
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