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二度目の傘と失恋
「ってことがあってさ。なんだか困っちゃうよね。」
バレないように細心の注意を払って無理に笑った。
「ねぇ、采羽。無理に笑わないで?俺は全部受け止めるから。」
そういい私の体を自分の方に寄せ、私を抱きしめた。人の温もりってこんなに温かいものだっけ。
「だから、俺が釆羽の傘になるから、、、もう無理に笑うな。釆羽は雨を降らせてもいいんだよ。」
涙腺が緩んだのか私の目からは大粒の涙が溢れた。
「わた、わたしが、お父さんを殺した。わたしのせいで。」
「そんなことない。そんなことないから・・・」
「違う、わたしのせいで、、わたしのせいでぇ・・」
「いや、そうかもしれないけど思い詰めないで・・」
苦労して言葉を選んでる姿がこんな時でもかわいいと思ってしまう。恋の力ってすごいなぁ。落ち着くまでずっと、朔久に体を預け泣いていた。
「ごめん。いやごめんなさい!」
「ん、いや大丈夫だから!」
ずっと泣き続けていた私を見守ってくれてたことに申し訳なさを感じてくるのだ。だから今、こうして謝り続けている。
「そういや、朔久、ご飯まだだよね。奢るよ」
「いや、そういう訳には、、」
私は奢る気満々なのでここは譲らなかった。
「じゃぁ、今日は奢ってもらおうかな。l
やっと折れてくれた朔久とラーメン屋に向かう。
「何にする?」
「そうだなぁ、豚骨とチャーハンにしようかな」
「んじゃ、頼みますね。すみませーん!」
そうして私たちは美味しいラーメンを完食し、ラーメン屋を出た。食レポは苦手だからしないけど。あぁ、このなんとも言えない平和な時間がずっとあればいいのに。今、告ってしまおうかな。いつ告れるかわからないのだし、思い切って行っちゃえ!采羽!
「朔久。」
「ん?」
「ねぇ私、朔久のことが───」
雰囲気を感じ取ったのか、朔久はそう告げた。
「俺、彼女いるんだ。」
その一言で私の恋の終わりを告げた。
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