雷鳴よ、俺に轟け

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そんなある日の夜。 俺は、真夜中にシュネーが家を抜け出して、何処かに行こうとしているのに気が付いた。 (あいつ……それこそ、魔物もいて危険だってのに。こんな夜中に何処行ってんだ?) 不審に思い、シュネーの後をつける俺。 すると彼は、家の近くにある小さな教会に入っていった。 そこは、昼間はシュネーが近くの村の子供達を集めては、寺子屋の様に勉強を教えている教会だ。 (夜中にこんな所で何をしてんだよ) 俺は、中の様子がもっとよく見える様に、教会の窓に近付いてみる。 すると、偶然にも月明かりが差し込み、中の様子が良く見える様になった。 中でシュネーが行っていた事。 それは、祈りだった。 彼は、この国を守る天使の像とやらの前で手を組み、瞳を閉じて、無心に祈りを捧げていたのだ。 そして、祈りを終えると……教会を出て、建物の裏手に回るシュネー。 そこには――小さな墓があった。
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