雷鳴よ、俺に轟け

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その衝撃に驚いて俺が目を開けると、目の前にはシュネーの顔があった。 どうやら、俺は彼に救われたらしい。 今の衝撃も、彼が俺を抱き締め、庇ってくれたからの様だ。 「怪我は、ありませんか……?」 本当に心配そうに、泣きそうな表情を浮かべて俺にそう尋ねて来るシュネー。 「俺は、何ともない……」 だが、よく見ると――俺なんかより、シュネーの方が大怪我をしている事に気が付いた。 俺を抱き締めて庇った時についたのか――シュネーの右足には、脹脛(ふくらはぎ)から足首にかけて大きな切り傷が出来てしまっている。 服の裾も無残に裂け、真っ赤な血が彼の白い足を滴り落ちていた。 「なんでっ……!なんで、俺なんかを庇ったんだよ……!」 ――だって、俺はあれだけお前に辛く当たっていたのに! 俺は、思わず強い口調でシュネーをそう問い詰める。 と、俺の言葉にシュネーは花の様に微笑んだ。 「何故、でしょうね……。でも、きっと私は……貴方と出逢った時から、今度こそ貴方を守りたいと思っていたんです……」 そう語り掛けながら、鞘におさめられた美しい剣を俺に差し出してくるシュネー。 彼は俺を見上げたまま、真剣な眼差しでこう告げた。 「シュウ。これを使ってください。貴方なら、きっと使える筈です」
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