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「ずっと、ずっと……貴方をお待ちしていました。いつか、お会い出来ると信じて……」
震える声でそう告げるや、ぎゅっと俺にしがみついて来るシュネー。
以前彼に感じていた苛立ちは、もう無い。
俺は、そっとシュネーの背中に手を伸ばすと、その華奢な肢体をぎゅっと抱き締め返した。
勿論、元の世界や雪に対する未練が無いかと聞かれたら、無いというのは嘘になる。
でも、俺は、シュネーへの気持ちを……愛しさを、思い出してしまった。
それに、あの怪鳥との戦いの場面で――まだ何も思い出していない、辛く当たっていただけの最低な男だった俺を、シュネーはその身を挺してまで助けてくれたのだ。
その愛の深さに、思いの強さに――正直、俺の心は動かされた。
同時に、思ってしまったのだ。
『コイツを護ってやりたい』と。
だから、俺は――。
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