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仔猫の様に、無邪気に俺の胸に頬を埋めて来る雪。
俺は、そんな雪の頭を優しく撫でた。
正直、男の俺が男の雪と付き合う事について、周りからは色々と言われた事がある。
だが、男同士で恋愛をする事について、不思議と俺に抵抗感は無かった。
というか、今まで一緒に居るのが当然だったからだろうか――その時には、もう既に恋人になるには雪以外なんて考えられなかったのだ。
まぁ、互いの家族がどう思っていたかは知らないが。
しかし、それ程までに、俺にとっては雪が隣にいる事は普通であり、幸せな事だったのだ。
と、考えに耽る俺の頬を、雪が人差し指でつんつんとつついてくる。
「ねぇねぇ!見て、秀!雪だよ、雪!」
雪の言葉に思わず顔を上げる俺。
と、空からは雪と同じ名前の……真っ白で美しい雪がひらひらと舞い降りて来ていた。
雪の長い睫毛が薄く雪に塗れ、正直、息を呑む程美しい。
(絶対に、手放せねぇな)
なんてことを考えていると、ギターの直哉が突然、鋭い叫び声をあげて来る。
「おい!秀!雪!後ろ!」
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