雷鳴よ、俺に轟け

あれから、どれ位の時間が経ったのだろう。

「いってぇ……」

全身を襲う鈍い痛みで、俺は目を覚ました。

視界には、見た事のない木の天井が広がっている。

「こ、こは……？」

(俺は、トラックにはねられて死んだんじゃ……？ああ、病院に運ばれたのか？それにしては、木造の病院なんて聞いたことねぇが)

ゆっくりと、鈍く痛む上体を起こしながら、そう思考を巡らせる俺。

と、そんな俺に、不意に声がかけられた。

「良かった……。目を覚ましたのですね」

澄んだ湖を思わせる様な、凛としていて、それでいて何処か優しい響きを持つ声だ。

(それに、この声――。何処となく、雪の声に似ている様な……)

――もしや、雪が見舞いにでも来てくれたのか？

思わず、声のした方を振り返る俺。

すると、そこには――。

「……雪……？」

美しい真っ白な――西洋の聖職者の様な服装に身を包んだ雪が、佇(たたず)んでいた。