深夜の訪問者~その足跡は誰のもの?~

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(これは雪かきが大変ね)  夫は出張中だ。ついでに言うと、ご近所さんは高齢者が多い。必然、雪かきはまだ若い私がやる必要がある。  心の中で「やれやれ」と小さくため息を吐いた、その時。 「な~んだ。わたしがいちばんだと思ったのに~!」 「え……?」  がっかりしたような娘の声に振り向き、私は絶句した。  娘が見つめるその先、眩いばかりの新雪の上に。  我が家の前で立ち止まり、そこから引き返したかのような足あとが残っていた――。 (了)
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