深夜の訪問者~その足跡は誰のもの?~

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「わぁ~! 見て見てパパ! お外が真っ白だよ!」  夜半から降り続けた雪は、外を白一色に染めていた。  家の前の道路も、お向かいさんの家も隣の家も、みんな揃って雪化粧。差し込み始めた太陽の光を浴びて、眩しいくらいに輝いている。  まるで世界が宝石箱になったかのような美しさだった。 「ありゃりゃ。こりゃ、雪かきが大変だなぁ」  玄関を開け放ち外を眺めながらはしゃぐ私とは裏腹に、父の顔には苦笑いが浮かんでいた。  当時の私は、父と二人暮らし。二部屋しかない古い平屋で、身を寄せ合うように暮らしていた。  庭もなければ大きな窓もない、玄関から出ればすぐに道路――みたいな窮屈な家だったけれども、私は大好きだった。「その家が」というよりも、父との暮らしが楽しかったのだ。 「すご~い! まだだれの足あともついてない! わたしがいちば~ん!」  玄関から見える道路には、まだ誰の足あとも付いていなかった。お向かいさんもお隣さんも、朝が遅い家だったからだろう。  だから私は、一面の新雪を独り占めできる――はずだった。
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