深夜の訪問者~その足跡は誰のもの?~

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 まず私は、ゲーム機からインターネットにつないで天気情報をチェックした。あの足あとは、半ば雪に埋もれていた。ということは、まだ雪が降っている最中に付けられたもの、という訳だ。  天気情報によれば、私達の街では朝の四時くらいまで雪が降っていたらしい。ということは、足あとの主がやってきたのは、少なくとも四時よりも前、ということになる。結構埋もれていたから、下手をすると日付が変わってすぐくらいかもしれなかった。  時間が絞り込めないとなると、長丁場になる。足あとの主の姿を見るには、夜ずっと起きていて「張り込み」を続けないといけない。  当時、刑事ドラマにハマっていた私は、子供の浅知恵なりに工夫をして、夜の「張り込み」の準備を始めた。  布団を抜け出して窓に張り付くつもりだったから、防寒用のブランケットを用意した。夜に起きていられるように、昼寝をした。父が物音で起きてしまわないように、それとなくお酒を勧めてみた。  なんとも微笑ましい――けれども当時の私にとっては真剣な、入念な準備だった。  そして夜が来た。
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