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防犯灯の明かりに照らされて、人影の姿があらわになる。
長い髪は波打っていて、ソバージュでもかけているのかと思ったが、違った。白髪混じりの全く手入れされていない、ボサボサの髪の毛が伸び放題になっているだけだった。
服は、冬だというのにピンク色のキャミソールと、ボロボロのスカートしか身に着けていない。キャミソールには、所々に黒いシミのようなものが付着していた。靴はハイヒールタイプのサンダルだ。
体は骨と筋しかないかのようにガリガリで、防犯灯に照らされた肌の色は灰色に近い。ミイラが歩き回っているようにしか見えない風情だった。
顔は体と同じくげっそりとやせ細りしぼんでいたが、眼だけは大きく見開かれ存在感を主張していた。視線はあちらこちらを彷徨い、白目が酷く充血しているのが薄暗い中でも見て取れた。
「――っ」
悲鳴が漏れそうになり、とっさに口を押さえた。
気付かれてはいけない。あれに気付かれてはいけない。そう心の中で叫びながらも、足はガクガクと震え、全く動いてくれない。
カーテンの隙間から顔を出したまま、私は完全に金縛り状態に陥っていた。
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