三章

14/14
前へ
/43ページ
次へ
「……」  新島は真顔に戻ると、舞帆の顔をじっくりと観察する。  手に取った下地を塗り、先程使ったものとは違うチューブのファンデーションを取り出した。   メーカーが違うピンクのアイシャドウを三種類フタを開けて、舞帆の顔と見比べる。  リップはリキッドタイプを5本ほど出す。同じように見比べて、決めた色を筆に取り、彼女の唇をなぞった。  ——目の前で私の顔を触っているのは、チャイナドレスの美人なお姉さんなのに。  すごく、「新島くん」に見える。  さっきより、もっと。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加