三章

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 彼がクレンジングオイルをコットンに取り、優しく彼女の顔になぞらせると、鮮やかだったまぶたの朱も溶けてゆき、「舞帆」の顔に戻っていく。  ——「粧い化ける」って本当なんだなぁ。  自分の顔に掛けられた魔法が解ける様子を見ていると、みちょりんは舞帆の耳元に顔を寄せる。 「……今日、かなり肌に負担を掛けてるから、帰ってからメイクを落として、相当しっかり保湿して。パックは絶対。後であげるから」 「⁈」  舞帆が勢いよく顔を上げると、新島は照れた様に微笑みながら口もとに人差し指を当てた。  ——なに今の声、顔⁈  かわいいのかカッコいいのかわからないけど、心臓に杭を打たれたみたいな、釘付け、いや杭付け?
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