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今年も、東京に雪が降りはじめている。高層ビル群の谷底から見上げる雪は、あの日見た風花のようだ。
近年、巷では地球温暖化が叫ばれている。が、夏は熱波が襲い、冬は冬で雪が交通障害などを頻発させるようになった。まるで地球が身悶えているかのように。
雪は恐ろしい。山の洪水だ。白い肌だ。薄れゆく囁きだ。そんなとりとめない妄想に取りつかれていた頃、大学を卒業した私は、かけだしのルポライターとして、糊口を凌ぐ生活に追われていた。三十年は前になるだろうか、経済成長をよそに過疎化が進む、地方のレポートを書くため、各地を飛び回っていた。
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