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「うわぁ…本当に綺麗だ…」
「ああ…俺もお前とここに来れて、嬉しいよ…」
大輔さんの彼が来たかった場所。
それは、沖縄の海が綺麗に一望出来る丘。
爽やかな風が温かく身体を包み込み、目の前には広大に広がる透き通った沖縄の海。
その一望はまるで、大輔さんから教えて貰った『ブルーラグーン』のようだ。
そして、大輔さんと彼氏さんが寄り添いながらも楽しそうに海を眺める姿に、俺も一平も顔を見つめ合いながら、微笑み合っていた。
「なぁ、優太くん?」
「大輔さん、なんですか?」
「…俺と彼に勇気を与えてくれて…本当にありがとな…?」
「えっ…?」
「優太くんと一平くんのおかげで、俺たちは前に進むことが出来たんだ」
俺と一平は、大輔さんからの一言に顔を見つめ合わせては、何のことなのだろうと軽く首を傾げていた。
「大輔、それだと何を伝えたいか、分かんねぇだろ?」
「ふふっ! そうだよな!…三ヶ月前の優太くんと一平くんの「本当の気持ち」へと向き合う姿を魅せられた時、ずっと隠していた『本当の俺の気持ち』が強く疼き出したんだ」
「だ、大輔さん…」
「『いけない恋』だとしても、二人は二人にしか見つけられない『本当の答え』を見つけようと必死にもがき、苦しんでは『共に生きる』ことを見つけ出した」
「はい…」
「そして『どんな道であっても絶対に離れない』って二人から聞いた時、俺とこいつとの『道』は本当に今のままでいいのだろうかって…真剣に自分の気持ちへと向き合ってみたんだ」
『俺も好きな人の傍にいたい』
『この想いが届かないことが苦しい』
『お互いこんなに好きなのに、このままでいいのだろうか…』
『結局、好きな人の傍にいれないのは、俺の気持ちが弱いからなのだろうって』
俺も大輔さんも…そして、一平も彼も…
『いけない恋』という大きな壁が立ちはだかる度に辛くも苦しい想いをした。
胸がはち切れてしまいそうな程、君を想っては、溢れる涙を何度も何度も拭った。
でもその裏で、どこか『いけない恋』のせいにしては、自分たちの本当の気持ちを押し殺し、心のどこかにそっと隠してしまっていたのも紛れもない事実。
それでも、心の底では『大好きな人』という存在は、決して消えることなどない。
寧ろ、乗り越えなければいけない壁が厚くなればなる程、想いが届かなければ届かない程にその存在は、大きく光り輝いてしまう。
「大輔さんは、弱くなんかないです」
「まぁ、優太くん、大輔の話の続きを聞いてやってくれよ?」
「…君たちを見て、俺も『俺の中で輝く存在』に対して決心をした…君たちを俺の家に泊めた時、実は嫁さんに別れ話を突きつけられていたんだよ」
「…ええっ…⁉」
まさかの大輔さんからの一言に、俺と一平は声を揃えては、驚きの一言で反応してしまった。
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