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21.脳が完全に溶けたか⋯⋯。
プルメル公爵一族の処刑を済ませて、モニカの部屋に急いだ。
彼女の部屋のクローゼットを開けても、ドレスも綺麗に揃っている。
(まだ、皇宮内にいるのか?)
「モニカの髪だ⋯⋯」
床に落ちているプラチナブロンドの髪は彼女のものだ。
初めて彼女に会った時、この髪がキラキラと舞っていて妖精のようだと思った。
モニカが何を考えているかは、俺には全く分からない。
それでも、俺が彼女に母タルシア・バラルデールを死に追いやった毒を盛っていたのは事実だ。
離縁を言い渡されるとは思っても見なかった。
俺はバラルデール帝国の皇帝で、女は皆、俺と縁を結びたがった。
最初会った時のモニカは、俺をただの男として愛してくれるような錯覚をさせた。
彼女は俺にしがみついて、もっと抱いて欲しいとせがんだ。
明らかに彼女の目には俺への好意が見られたし、まるで子犬のように人懐こい女に見えた。
彼女の身も心も自分のものになったと思っていたのが錯覚で、騙されたと苛立ち彼女を攻撃した。
明らかに彼女の心が俺から離れるのがわかって、ムカついて傷つけようとしたら返り討ちにあった。
彼女が現れてから、長年俺を悩ませてきたレイモンド・プルメル公爵まで失脚した。
ほんの1ヶ月の話だ。
そして、ついには父の仇を取り、プルメル公爵家一族を処刑することができた。
(そもそも、レイモンド・プルメル公爵が逃げるように領地に引っ込もうとしたのは何だったのか⋯⋯)
俺は何となく不自然な状況にモニカの暗躍を感じていて、何を考えているのは分からない彼女に恐怖を感じていた。
でも、モニカを失うかもしれないと思った今、俺は彼女を引き止めることしか考えていない。
もう、彼女に溺れて殺されて、バラルデール帝国が滅ぼされても良い気がしてきた。
モニカのような危険な女を愛するならば、バラルデール帝国最後の皇帝になるくらいの決意がないと無理だ。
(脳が完全に溶けたか⋯⋯とにかくモニカを捕まえないと⋯⋯)
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