イケメンアバターさんが◯◯◯だった件

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俺ーーー山田咲治郎(さくじろう)は、ボッチである。 所謂、コミュ障というもので友達の作り方なんて分からない。 それでも、友達が欲しかった。 友達づくりは、いきなりリアルからでは難しだろうと思い、まずはネッ友もつくることにした。 『2ndLIFE』ーーー自由に着せ替えができるアバターゲームで、ジョブなどもあり、モンスターを倒しても良いし、農家やお店の経営をやってもいい自由度の高い人気のアプリゲームを、俺は手始めにやってみることにした。 ジョブは見習い剣士。 とりあえず、弱いスライムとかを倒そうと迷子のように歩いていると、いきなりレアリティの高い赤きドラゴンというモンスターが目の前に現れた。 (いやいやいや、無理無理無理無理!!こんなの倒せないって!!) 逃げるのコマンドを押そうとしたとき、助太刀してくれる人の名前が画面の下に表示された。 …………レベルMAXだ、この人。 ロディという名前のその人のジョブはスナイパー。 近距離戦しかできない俺に、めちゃくちゃ強い遠距離攻撃のプレイヤーはありがたい。 そうして二人で(ほとんどロディさんの活躍でだが)モンスターを倒すことができた。 討伐後、ロディさんと顔を合わせた。 (うわっ、ロディさんのアバター、めっちゃイケメンじゃん。100%課金勢だよ、この人) 「新人さんですね?山田モブ郎さん」 山田モブ郎は、俺のプレイヤー名だ。 「はい、まだ始めたばかりです……」 チャットで会話ができるのも、このゲームが人気の理由だ。 「新人さんは、まずは訓練所でレベル上げしたほうが良いですよ。そこを卒業すると、アイテムもたくさんもらえますし……」 「分かりました!!あの……いきなりで悪いんですけど、フレンド申請しても良いですか?」 「良いですよ」 こうして、一人目のフレンドができた。 まだまだ弱くて、おまけに無課金勢だからか、ロディさん以降、まだフレンドはいない。 ロディさんみたいにアバターをイケメンにするために、アルバイトでも始めてみようか……。 そうロディさんに相談すると。 「俺のお下がりで良ければ、アイテムをいくつか贈りますよ」 と、申し出てくれた。 「聖人男性だ……っ」 「そんなことないですよ。もうそろそろ、アイテムボックスがいっぱいになるところだったんで、一石二鳥ですよ」 「それでも、本当にありがとうございます!!」 いくつか贈ってもらったアイテムは、全て課金アイテム。 ロディさん、マジでイケメンだ……。 そうして、ロディさんと仲良くしながら『2ndLIFE』を初めて一ヶ月近く経った頃、俺は憧れてたオフ会なるものをロディさんに提案した。 「オフ会……ですか」 「あっ、嫌だったら正直に断ってくださいね!!」 「いや……、俺もオフ会してみたい願望はあったので良いですよ」 「本当ですか!!ありがとうございます!!」 そうして、俺とロディさんはチェーン店のカフェでオフ会をすることになった。 オフ会当日。 持っている服の中では綺麗めなデザインのものを着て、カフェに向かった。 約束時間より早めに来てしまったので、ロディさんはまだ来ていなかった。 抹茶ラテを注文して、ロディさんを待つ。 ーーーロディさんとリア友になれたら良いんだけどなぁ。 15分ほど待つと、俺が座っている二人席の空いてる方に美少女が座ってきた。 「あっ、すいません。その席、待ち人ので……」 「俺……いや、私がロディです……」 ………………。 えっ????? 「すいません。ゲームの中では男装してたんです」 「何故?????」 「ゲーム内で男装カフェの経営もやっているので……」 「なるほど……?」 ちょっと、待って。 男性だと思ってた人が実は美少女でしたとか、俺には難易度が高すぎるイベントだ……。 誰か、救援求む!!
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