おなかが空いた(2)

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おなかが空いた(2)

 買い物をして肉を大量に買ってきた。  そのすべてを焼いて食べさせたがやはり足りないらしい。 「もしかしたら肉が栄養にならないのか? それにしてはちゃんと食べてる気がするが」 「くーん」  食事を終えたりゅーくんは表情が強張っていく。  揺れながら歩いていて。 「これはトイレタイムだ! 俺の目は誤魔化せない」  スマホを取り出して取扱書を開く。  トイレに関する項目を見つけると、例の曲を流すためのリンクを見つけた。  そのリンクをタッチして起動する。 「食らえ! これがトイレのための音楽だ!」  祈る。  せっかく作ったトイレまで移動してくれることを。  アー、イツダッテボクハ。アー、イツダッテボクハ。トイレガドコカ、キニナルンダケド。アー、イツダッテボクハ。アー、イツダッテボクハ。トイレガドコカ、キニナルンダケド。アー、イツダッテボクハ。アー、イツダッテボクハ。トイレガドコカ、キニナルンダケド。  なんだ、この音楽は。 「きゅーん!」  しかしりゅーくんはノリノリで歩きながらトイレまで近づく。  すると翼を大きく広げて飛んだ。  そしてどこかへ行ってしまった。  轟音が鳴って、俺は音の発生源まで。  扉には穴が空いていた。  簡単に説明すると、あえてこう言わせてもらうが、人間用のトイレに向かって飛んで扉を破壊して便座に座った。どうやってトイレの蓋を開けたかは分からないが。  たぶん、扉を開けてから音楽を流すのだろう。  そしてトイレの蓋は開けなくともよい。  俺はちょっとだけ泣いた。  姉に弁償させよう、そう誓って木屑を掃除機で吸うのだった。  トイレタイムを終えて。 「次はお風呂だ!」  そこからは困難という困難がなかった。  よく懐いてくれたのもあって風呂も順調、水飲みも順調だった。  トイレに関しては既に扉に穴が空いているため心配する必要はない。  そして段ボールトイレは片付けた。  夜はソファに寝かせた。  朝起きて焼き肉を食べさせる。  甘えてくるので頭を撫でると一度寝る。ここまででドッと疲れるので俺も寝た。  こうして、姉が帰ってくる昼まで世話することができたのだ。
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