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第2章・愛に溺れて 2ー②
ジャラールにも、ついに発情期が来た。
その精液は、何度か摂取して確認した結果、精子欠乏性に近い程その量が少ないと判明した。
待ちに待った自らの発情期にジャラールは浮かれ、ファイザルへとしなだれかかった。
「私は妊娠する方に適した体ということですよね?」
「そうではない。精子が少ないのは、恐らく遺伝的なものか、幼い頃に高熱を出したかだと思う。まだ卵子を取って調べた訳ではないから、卵子に異常がないか、今日はそれを調べておこう」
ファイザルはジャラールの卵子を取り上げ、あらゆる検査をした。
ファイザルが顕微鏡を覗いていると、背後から何かが覆い被さって来た。
ファイザルの首筋に生暖かいものが触れて、それがジャラールの唇であるのを横目で確認する。
唇が、ファイザルのそれと重なりあう。
その舌先の乗せられた甘酸っぱい味には覚えがあった。
トゥルカの実の酸味だと、すぐに分かった。
「……どういうつもりだ。ジャラール」
「私にファイザル様の精子を下さるんですよね。準備は出来ています」
「……準備?」
「ファイザル様は、犬にすら受精させる妊娠誘発剤を発明されていらっしゃいましたよね?私もそれを挿れておきました」
「あれを盗んで、自らの体内に挿れて、トゥルカの実で私を誘うか……」
「……あぁ……ファイザル様ぁ……早くっ、早く私をっ……」
ジャラールは、ファイザルの椅子を自分の方に回転させ、その膝の上に跨がった。
「そこまでして、王族の子供が欲しいか」
「欲しいっ!欲しいっ!」
ジャラールは激しく腰を回して、その膝上で尻を踊らせた。
「……だが、お前は王族ではないな?」
「……何故、そんな事を……」
「お前の髪の毛に、金色の毛が混じっているのが気になった。若いのに白髪かとも思ったが……。精子の数を調べる際に、他の検査もしてみた……、お前の細胞から、金の犬族のものが採取されたぞ」
「そんな事は関係ないでしょう?貴方の薬は、銀の犬族と王族の受精も成し得た!ならば、私の卵子でも妊娠は可能でしょう?」
「確かに可能であるのは立証出来たな。……ただし、それは一定の条件を満たさないと受精の確率が極端に減るのだ」
「私でお試し下さい!私ならあの犬よりもっと……」
ジャラールは過呼吸なまでに息を荒げ、その体はトゥルカの実によって限界に近付いていた。
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