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はじまり
澄みきった青空に新鮮な風の匂いが鼻を掠めていく。
見渡す一面は山々に囲まれていて、家?なのかぽつりぽつりと建ち並んでいる。
―――――と、言っても道を挟んだ所にしかないみたいだが。
田んぼと、小さな川?が流れていて、様々な色のついた花が咲いているのが見えた。
あいにく名前は知らないが。
なるほどね。
アイツが気に入るわけだ。
息苦しいあの世界とは対照的だからな。
さて、問題は。
今は確か三歳だと思うのだが、あの日産まれた時以来で人間界の年月でいえば。
どうやって探すんだ?
ふぅと軽く息を吐き空を見上げた。
人間界とあの世界を行き来しているせいか、太陽の光は気にならない。
まあ、あの世界は太陽がないからな。
ふむ、情報はいろいろ調べたが、家に行くのもな。
あの女は忘れていなかったら俺も覚えているはずだ。
まあ、忘れていたら、その場で消す。
なんの為にアイツが!!!
ふと脳裏に浮かぶアイツの顔に、自然と拳に力が入る。
まあ、忘れはしないと思いたい。
あんなに想いあっていたのだから。
それにしても、産まれたのは女の子とは。
本当に皮肉なものだな。
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