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職員室
失礼します。えっと、５年３組の浅利悠二です。山田先生に呼ばれて……あ、先生。
はい、ありがとうございます。じゃあ、ストーブの近くに。この椅子でいいですか？
あの、先生がぼくを呼んだのって、宿題の作文のことですよね？ みんなが雪を楽しみにしてるのに、降らない方がいいなんて、ダメでしたか？ え、違う？ じゃあ、わかっ……あ、原稿用紙の裏に描いた絵のこと、ですか。
ええ、そうです、この絵はぼくの家族です。
屋根でシャベルを持ってるのがお父さん。このメガネがぼくで、お風呂に入ってるのがよしろう、おもちを食べてる子がみなみです。ベッドで寝てる、ちっちゃいのがいつき。
あぁ、山田先生は、当時兄ちゃんの担任だったんですよね。ぼくはもう顔を覚えてないけど、この、川べりでソリ遊びしてるのが兄ちゃんです。似てますか？
お母さんは……毎年、節分の日にはお面をつけて鬼の役をやってくれるんです。だからこういうふうに……でもふだんは、ちゃんと普通に、その……優しい、すてきなお母さんです。
先生、あの、えっと……何か、ぼくの作文で気になるところとか、……いえ、なんでもないです。
明日の土曜日、雪の予報ですね。クラスのみんな、ウキウキして帰りました。
お母さんが待ってるから、僕ももう、帰りますね。
じゃあ、先生……さようなら。
【了】
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