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「――何か思い出しそうになったら、直ぐに声をかけておくれ」
僕には"何も無い"のだから――。
家族も、友達も、大切な人間の記憶も存在も。
何が好きで、何が嫌いだったのかも。
何ができて、何ができなかったのかも。
どんな過去を踏み越えてきたのかも。
どんな現在を生きていたのかも。
どんな未来を夢見ていたのかも。
僕は何一つ思い出せない――。
僕は空虚な存在なのだ――。
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