第12章:助けて

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「ううん、別になにもないわ。私が不甲斐なかっただけ」 すると宇佐美くんは深くため息をついた。 「あなたはいつもそればっかりですね……そんなに俺は頼りないですか?」 「えっ」 どうしてあんなことしたのに、一番私を心配してくれる人が彼なんだろう。 涙が出そうになるのを必死で堪えた。 「もう、行きます」 宇佐美くんはそれだけを残して去っていった。 もう終わりだ。 自分のしたことにケリをつけよう。 こうやって自分がしたことから逃げてばかり。 だからどんどん広がっていってしまうんだ。 宇佐美くんが去っていった後、隠れていた赤沢くんが出てくる。 「おい、どういうことだ!あんなにチャンスがあったのに何もしないで帰すなんて」 「宇佐美くんを傷つけることなんて出来ない」 私が真っ直ぐ伝えた言葉に赤沢くんは言った。 「へぇ、いいんだな。そしたら全員にバラすぞ。お前の信頼も地位も全て無くなって一人になる」 「全部言ってもらって構わない。それくらいのことをしたんだから……」 すると、赤沢くんは苛立ったように言った。
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