第1章:生徒会選挙

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ちらりと彼を見る。 私は彼のことが苦手だ。 不安はない。 さっきそう言ったけれど本当はウソ。 「それにこれ、生徒会室に忘れてましたよ。今日使うんじゃないんですか?」 「あっ!ごめん……」 私はこの彼を……大きな脅威に感じている。 「結衣さんって肝心なとこ抜けてますよね」 「い、今持ってこようと思ってたのよ!」 「……本当に?」 ぎらりと光る目がこっちを見る。 ――ゾクッ。 まただ。 この表情。 私は彼のこの目が怖かった。 隙を見せたら食ってかかられそうなこのまなざし。 ──怖い。 本当に不安はなかったはずなのに、この彼が生徒会にやって来てから、おびやかされることばかりだ。 彼、宇佐美直人(うさみなおと) 高校2年生。 うすい茶髪にふわりと巻かれたパーマ。 しゅっと鼻すじが通っていて、ぱっちりとした二重の彼は人当たりがよく、要領もいいため男女問わず、多くの人がついてくる。 もちろんそれだけではない。
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