僕があなたを消した理由

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「チャイ、着いたぞ」  リードを付けた僕に声をかけて、お父さんがお店の中に入る。 「いらっしゃいませ……あれ、笹原(ささはら)さん!ぶりですね」  お店の中に入ると、お父さんよりかは、いくらか若そうな男の人が、そう声をかけて来た。 「お久しぶりです、マスター」 「あ、チャイ! 元気しているか?」  そうして。  お父さんの足元にいる僕に、かがみこんで頭を撫でて来る。 「立派にサクラの後を継いでいるみたいだな!」  けれど。その人が言った、「サクラ」という名前に、ドクンと心臓が鳴ったことがわかった。 「テラス席で良いですか?」 「ああ。注文が来るまで、ドッグランを使わせてもらうよ」
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