6人が本棚に入れています
本棚に追加
「チャイ、着いたぞ」
リードを付けた僕に声をかけて、お父さんがお店の中に入る。
「いらっしゃいませ……あれ、笹原さん!ぶりですね」
お店の中に入ると、お父さんよりかは、いくらか若そうな男の人が、そう声をかけて来た。
「お久しぶりです、マスター」
「あ、チャイ! 元気しているか?」
そうして。
お父さんの足元にいる僕に、かがみこんで頭を撫でて来る。
「立派にサクラの後を継いでいるみたいだな!」
けれど。その人が言った、「サクラ」という名前に、ドクンと心臓が鳴ったことがわかった。
「テラス席で良いですか?」
「ああ。注文が来るまで、ドッグランを使わせてもらうよ」
最初のコメントを投稿しよう!