僕があなたを消した理由

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 続けて、女の人が女の子を追いかけるように、駆け込んでくる。  けれど。  女の人が止める前に、僕達のいる方に近づいて来た女の子は、僕がいることに気付いた。 「犬、犬がいる⁉」  そうして。僕を見るなり、大きな声を出した。 「涼音(すずね)、今日はまだ奏を連れて来るなって言っただろう!」 「ごめんなさい、『じいじの所に行く』って聞かなくて……」 「とりあえず、外に出してくれ」 「嫌、じいじ~~~」  と、泣きわめく女の子を、女の人が抱きかかえて、部屋の外へと出て行った。 「すいません、娘が……」 「いいえ」  すまなそうにするご主人様の息子に、お父さんは首を振った。
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