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「そうですか……」
お父さんの話を聞いて。
ジンの飼い主である笠井さんは、短いため息を吐いた。
「亡くなられたのですね、福島さん」
「はい……会いに行った、翌日でした」
「そうか……会えて良かったな、チャイ」
笠井さんは、そう言って僕の頭を撫でてくれた。
ご主人様が旅立ってから、しばらくして。
お父さんと僕は、お父さんがお休みの時に、あのドッグランのあるカフェに来ていた。
「思い出せたんだな」
そんな僕を見て、僕に近づいて来たジンが、そう言って来る。
「言って来る」と言っても、僕達の会話は、人間には聞こえない。
「うん……思い出したよ」
僕は、ジンの言葉に頷いた。
「そうか」
ジンはそれ以上、何も言って来なかった。
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