僕があなたを消した理由

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 お父さん達が、ご主人様が「亡くなった」と言う連絡を受けたのは、次の日の朝で。  亡くなった時刻が、僕が遠吠えした時と同じだったらしくて、お父さんとお母さんは、不思議だね、と言い合っていた。  そして、ご主人様の息子は、お父さんと会って、僕のためにお金を渡して来てくれたらしい。  お父さんは断ったみたいだけど、「父の遺言でもあるんです」と言われたらしくて、「お前の餌代を貰って来たよ」と僕に教えてくれた。  貰ったお金は、僕の餌代にしよう、とお父さんとお母さんは話していた。 「十年分ぐらいはありそうね」と、お母さんは笑っていた。  ご主人様。  お父さんと外に出て、良い天気の空を見上げながら、僕はご主人様に話しかけた。  僕は、ここで幸せに生きているから。  あなたとの生活は、とても幸せだった。
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