僕があなたを消した理由

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「水も飲むのよ」と、綺麗な水をお皿に入れてくれる。  そして、午後九時になると、お母さんもお姉ちゃんもお父さんも、自分達の部屋に行ってしまって、一階はとても静かになる。 「チャイ、ただいま。散歩に行くぞ」  で、その時間になって。  お兄ちゃんが帰って来るのだ。  この人は帰って来るなり、僕を連れ出して、ランニングに行く。  このお兄ちゃんとの散歩は、お父さんとの散歩よりは時間は短いけれど、距離と走るスピードは、家族の中で一番だった。  僕は付いて行くのが精一杯で、トイレをするのは、途中で給水する時と戻って来て、玄関の前でやっていた。 「お前は、いつも決まった場所でするなあ」  と、お兄ちゃんは感心するけれど、する暇がないほど、僕は走り続けているのだ。 「いいか、チャイ。筋肉は裏切らないぞ!」
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