僕があなたを消した理由

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 ゼイゼイと息切れする僕に、お兄ちゃんはいつもそう言っている。  でも、お兄ちゃんも確か、今年で二十五歳になるはずだ。  そろそろ、筋肉以外のことに興味を持っても良い頃だとは思うのだけど。 「女は、すぐ裏切るけどな!」  ……とりあえず、今は傷口に塩を塗り込むみたいである。  そんな風に、散歩三昧な日々を送っていた僕だけど。  ある日、お姉ちゃんが寝坊してしまって、朝の散歩が行けなかった。 「ごめん、チャイ! お母さんに、代わりに行ってもらってね」  しわくちゃな制服を着て、髪もぐちゃぐちゃなお姉ちゃんが、玄関にいる僕にそう謝ってくる。 「いいから、早く支度しなさい」  台所からは、呆れたように声をかけてくる。 「お母さん、お願いね!」
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