僕があなたを消した理由

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「チャーイ、おはよう!」  僕の一日は、この声から始まる。  チャリチャリと言うリードの金具の部分が鳴る音がして、僕がいる玄関のスペースに、お姉ちゃんが現れる。  朝から髪もしっかりと整えて、服装もカジュアルだけど、可愛くまとめている。  人間で言う「時刻」では、まだ朝の六時前だ。 「チャイ、散歩行くよ!」  そうして。  元気よく、僕にそう声をかけてくる。  お姉ちゃんは、元気だ。  もちろん、まだ高校生で、若いってのもあるんだろうけれど。  お姉ちゃんの場合は、また違う目的がある。 「チャイ、そんな顔しないでよ~。一人じゃあ、まだ声をかけることもできないのよ!」  え、寝起きに勘弁して。  と言う僕の表情を見て取ったらしいお姉ちゃんが、僕の首筋にすがりついて、懇願してくる。
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