白くて 痛くて 儚くて

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珍しく積もるほど降った雪はさほど寒くない東京では朝になると中途半端に溶けて次の日に固い氷になる。 車も人も雪に慣れなてないから転倒したりしてニュースになったりもする。 そんな雪が降った後の朝、滑らない様に凍ってない道を探しながら登校していると見てしまった。 同じクラスの男子の姿。 いつもクラスの中心にいて大きな声で騒いでいる男子。 車に轢かれた猫に自分のマフラーをそっと掛けてあげていた。 寂しげに伏せた瞼、いつも笑っている口は小さく開いて白い息を吐き出していた。 あの日からあの子はただのクラスメイトではなくなった。
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