白くて 痛くて 儚くて

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東京に降り積もり固まった雪は直ぐにきれいさっぱり溶けたのに、この胸の痛みだけはずっと続いていた。 季節は少しずつ春に進んで行くのに。 俺はまだ彼女の後ろ姿だけを見つめ続けていた。 風は少しずつ暖かさを運んでくるのに。 私はまだ本を読むふりをして彼の声だけ探し続けていた。 胸の痛みは強くなっていくのに、どうしたらいいのか分からなかった。 どうすれば彼女が振り向いてくれるのか。 どうすれば彼の声だけを聞けるのか。
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