白くて 痛くて 儚くて

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卒業式の後に熱血担任が集合写真を撮ると言い、ランダムに黒板の前に集まった。 俺の目の前には彼女がいた。 私の後ろには彼がいる。 胸が今までで一番痛くなった。 担任がカメラのタイマーをセットした瞬間、窓から強い風が吹き込み、校庭のソメイヨシノの花びらが舞い込んできた。 白いソメイヨシノの花びらはまるで雪のようだった。 彼女の髪が俺の頬に当たり、彼女は慌てて髪を押さえて振り向いた。 俺は初めて彼女の顔を間近で見た。 私は髪の毛を押さえながら彼を見た。彼は「ごめん」と私の目を見て言った。 私は初めて彼に話しかけられた。   それは最初で最後の願いが叶った瞬間。 白くて 痛くて 儚くて 俺の 私の 雪から生まれた初恋の想い出。
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