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確かに、あたしは自分の趣味趣向はストレートなものだと思っている。かっこいいな、素敵だな、と過去に思った相手は全員男子だ。だから多分、レズビアンの気はないのだろう、とは思っている。思ってはいるけれど。
「……よくわかんね」
ここは、正直に語るべきだろう。
「今までかっこいいとか、素敵だと思ったのは男子ばっかだったけどさ。じゃあ女子と恋愛できないかというと、それもよくわからん。つか、考えたことがないっていうか、考えられないっていうか。あたし、ちゃんと恋ってやつをしたことなくてさあ」
「初恋、まだなんですか?」
「端的に言うとそんなかんじ。友情と恋愛の違いが、よくわかんね。ただ、認識としては……恋愛の方が重たい、とか。特別扱いしなきゃならねーもんなんだろうなとは思ってて。でも、やりたいことたくさんあってさ。部活もやりたいし、趣味もしたいし、そう考えたら一人の人間のためにどこまで時間使えるのかなって。人のために時間使える自信ないやつは、恋愛なんかしちゃ駄目だろうなって思ってて。だから……今まで、告白された全員、断ってきたんだ。男も女も関係なく、さ」
恋愛をして、付き合うことになったら。その人物を、他の友達とは区別しなければならないことになる。特別扱いを向こうも期待しているし、それができないなら恋人ということにはならないだろう。
もちろん、最終的には恋人になる以上、キスだとかセックスだとか、そういう話に行きつくというのもあるかもしれない。中学生だから少々飛躍しているとは思うものの、それこそ恋愛の執着地点は結婚だと思っている人もいるだろう。
そういうのが、面倒というわけではないが――できる自信がない、というのが本音なのだ。
「誰か一人、特別に扱うとか……できなさそうっていうか。他の友達のことも大事にしたいのに、差別化しなきゃいけないってのが、なんかキツくて。……恋愛と友情の区別がついてないから、余計そう思うんだろうけど。それに」
これも、言っておくべきことのはずだ。
「その、鮎奈のことは、ほんとまだ知らないもんだから。いきなり好きと言われても、なんの感想も返せないんだよ。もうちょっと、お前のこと知らないとどうにもならないっつーか」
「それは、わかります。だから……お返事は今でなくてもいいです。半年後までに、頂ければ」
「それ。他の奴から聞いたけど。どうして半年なんだ。半年後に何かあるのか?」
なるべく優しい声を作って告げた。すると、鮎奈は困ったように笑って――自分の手首を見せてきたのである。
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