氷柳の下で

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キラキラと宝石のように輝きしだれ桜の木にまるで自分が花だと言うように垂れている樹霜(じゅそう)が美しく風に揺られている姿を見れば思い出す 「けほっけほっ」 寒さに当てられて咳き込んでしまう、 しだれ桜の並木道を共に歩く相方が 大丈夫?と言うようにこちらを覗いてくる 「大丈夫よ」 そう言えばならいいけどとまた冷たい雪の地面に足を下ろしている、 こんなに寒いというのに元気にどんどん先に進んでいく 美しい雪の花など愛でること無く今年初の積雪を楽しんで歩いている。 真っ白な穢のなかった新雪に可愛いい足跡を残して行く後ろを私も付いていく、いつも歩く道も雪景色に変わると違うものに見えて、新たな地に相方と赴く(おもむく)ような気持ち 相方は新雪に飛び込んで見たり食べてみたりと雪を楽しんでいる寒空の下、他のペアに会えば、寒いですね、と私達は少し辛そうなのに相方達は挨拶をして満足し早く行こうと私達を急かす 「この子達は元気ですねぇ」 「本当に、私達も頑張らなきゃいけませんね」 他のペアの人とそんな会話をして「それじゃあ」と別れてまた歩き出す、そしていつもの川原に付けば早速走り出す相方、 何人か他のペアが歩いた後はあるがそれでも雪が嬉しいのか駆け回る相方遠くで雪合戦する子供達を横目に私から離れないようにけれど楽しそうに駆け回るそうしていたら他のペアも来てお決まりのように「寒いですねぇ」と会話をするが相方達は寒さを感じないように走り回っているだいぶ遊んで17時のチャイムでもなりそうな時間になりそれぞれの相方を連れて帰りだす 私達もまた雪柳の下を歩いて帰る 白い息を吐きながら歩く私と相方、私は寒さに震えているが相方は元気にずんずん進んでいる そう、昔はそれくらい元気だった。 ケッケッと咳をする相方 「大丈夫?」 声をかけるとエッとえずく相方、足腰も弱くなり、外を歩く事もきつくなって抱いて歩くのが最近の散歩だ相方を撫でると気持ち良さそうに顔を緩める 「やっぱり帰ろうか、今日は寒すぎるね」 寒くないようにぎゅっと抱きしめて家に帰る 昔は樹霜でできた雪柳の花のような美しさなどゆっくり見ることはなかった。 年月が過ぎて私も相方…この子も年をとるのだけれど、ゆっくり歳をとる私と違って昔の癖のように駆け足で歳をとるこの子達14年たった今、人間なら72歳とだいぶ年をとっているが今は動物の医療も進んでいて犬でも20年以上生きる子も居るらしい 「来年も一緒に雪を見ようね」 「わふっ」 と返事をする相方と一緒に冬に咲く樹霜に彩られた柳の下を駆け足で雪を固めながら走るのだった
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