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「そうこうしてるうちに、あの人が危篤だっていうから病院行ってみたら、余命いくばくもないって」
「え……」
「肝臓だって。バチが当たったんだよ。あたしらに酷いことしたから」
未亜はふんっと鼻を鳴らした。
「死ぬ間際にね、言われたの。双子の姉がいるって。びっくりしたけど、妙に納得しちゃった。だってたまに、なんにもしてないのに急にあちこち痛くなったりすることあったから。あれって、双子によく起こる現象なんだってね。片方が怪我すると、もう一方も同じところが痛くなるって」
結亜は、ガーゼで覆われた未亜の額を見た。
そういえば、先日食事の途中で、急に頭が痛くなったことを思い出す。
未亜の言う通り、今までもこんな事が度々あった。
なんだかまた痛み出したような気がして、結亜は自身の額にそっと触れた。
「もしかして、お姉ちゃんも?」
未亜が訊く。
「あ、うん。こないだ」
消え入りそうな声で、結亜は答えた。
「そっか。やっぱあるんだ」
不思議だね、と笑うと、「これ、こないだ一晩付き合った男にやられたんだ。参ったよ。こんな趣味があったなんて」と未亜は、顏をしかめて額のガーゼを取った。そこには、既にかさぶたになっている真一文字の小さな傷があった。
「ああ、それでね」
その傷を前髪で覆い隠しながら、未亜が仕切り直す。
「うん」
再び結亜は、話に耳を傾けた。
「あたしたちが預けられたっていう施設に行ってみたら、お姉ちゃん、とっくに里親に引き取られたって」
「えっ?」
結亜の鼓動が早くなる。
「それじゃあ、パパとママは……」
「里親だよ。つまり、全くの赤の他人」
「そんな……」
多分、赤ん坊の頃なのだろう。結亜には全く記憶がなかった。目の前が、急に真っ暗になった気がした。
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