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「ちょっと待ってよ。確かについ最近告白されて付き合うことになったけど、二人でなんて出掛けたことないし、ましてやホテルなんて……」
結亜は顔を赤らめた。
「そうよね。ママも、結亜がそんなお付き合いしてるとは思えなかったんだけど」
「当たり前じゃない。手だってまだ繋いだことないのに」
言ってから恥ずかしくなり、結亜はバツが悪そうに下を向いた。
そんな娘の姿に、忍の表情が緩む。
「それならいいんだけど」
忍が安堵の息を漏らした。
「見間違いだよ、きっと」
「そうね。他人の空似ってこともあるし」
「他人の空似……」
そういえば、芽衣子が結亜にそっくりな人を見かけたと言っていたことを思い出す。
「ドッペルゲンガー」
「え?」
「ううん。なんでもない」
結亜は慌てて首を振った。
「人違いならいいけど、あなたも気を付けなさいよ。誰がどこで見てるかわからないんだから」
「わかってるよ」
「もう大人だし、恋愛の一つや二つしたっていいけど、その彼は大丈夫なんでしょうね? ちゃんと結亜のこと大切に」
「大丈夫。彼はそんないい加減な人じゃないから」
忍の言葉を遮ると、結亜は素早く脇をすり抜け、風呂場へと向かった。
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