明智マサヨシ

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明智マサヨシ

「なるほどワケのわからない宇宙人を弁護するにはイロモノの弁護士がうってつけってワケですかァ? ハッハハッ」  被疑者の少年は茶化すように笑ってみせた。 「おいおい、誰がイロモノの弁護士だよ。言っておくけどボクは二刀流だ。ロックミュージシャンとビジュアル系弁護士のねェ!」  すぐさまシンゴはツッコんだ。  まったく大人気(おとなげ)ないが、彼なりにプライドがあるのだろう。 「フフゥン、なるほどねえェ。織田シンゴって言うと織田信長となにか関係があるの?」  被疑者の少年は楽しげに訊いた。 「ああァ一応、これでもボクは信長の末裔さ」 「へえェッ、なるほどねえェ……。信長はファッションも奇抜で尾張の傾奇(カブキ)者だったらしいからね。ビジュアル系に通じるモノがあるのかなァ」  相変わらずおどけた態度だ。 「ああァ、そうかもしれないな」  シンゴも渋々うなずいた。 「ボクは神奈川県警の刑事、明智マサヨシ。正義と書いてマサヨシって読むんだ。気軽にジャスティンと呼んでくれ」  続けてボクが自己紹介をした。 「ふぅん、正義だからジャスティンねえェ」 「ウン、そうだよ」 「だけど面白いなァ。じゃァッ、織田信長の末裔が明智とパートナーなのかァ」  美少年は楽しげに笑って訊いてきた。 「まァそういうことだ。でも断っておくけどボクはシンゴくんとは違って。明智光秀とはまったく縁もゆかりもないんだ」 「フフゥン、っで、そっちの美少女は?」  続いて美少年はマリアに視線を向けた。 「私は現役女子高生アイドルの織田マリア。シンゴくんのパートナーよ」  すぐさまマリアは無理やりシンゴと腕を組んだ。  彼女はシンゴがお気に入りのようだ。  シンゴは少し迷惑そうだ。 「おいッ、頼むから腕を組むなよ」  シンゴは照れ笑いを浮かべた。けれども嫌がっているようには見えない。 「へえェ〜ッ、じゃァオダマリなのかァ。ピッタリの名前だなァ!」  美少年はバカにするようにあざ笑った。 「はァッ、誰がオダマリよォ」  またマリアは立ち上がって怒鳴り返した。  
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