ブラッディフール

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ブラッディフール

 今度はシンゴがツッコんだ。 「ええ、そうですね」  美少年は茶化すように笑って応えた。 「ふぅん、言ってることがまったく違うじゃん。ダブルスタンダードよ」  織田マリアもクレームをつけた。 「そうですね。まァ、言葉足らずでしたね。普段はこの星の一般人と大差ありません。もちろん超能力なんか使えませんから」 「はァ開き直りかァ!」マリアはクレームをつけた。 「おい、なんだよ。普段はって事はいざとなったら超能力を発揮するって言うのか。ずい分、都合の良い超能力だなァ?」  シンゴの発言にもトゲがあった。 「ええェ、ボクもなんとか彼女の蘇生を試みたんですが」   「バァーカ言ってろよ。亡くなった人を(よみが)えらせることなんて出来るはずないだろう。ハリーポッターだって蘇生魔法はないんだからな!」  またマリアはアクリル板に顔をくっつけて怒鳴りつけた。 「まァまァ、姫。落ち着いて!」  ボクとシンゴがなだめて席へ着かせた。 「……」さっきから刑務官がこちらをずっと睨んでいた。  もう一枚イエローカードが出れば累積で退場だろう。  危ないところだ。 「フフッ、ですから時間が必要だったのに、邪魔をされて」  また笑う宇宙人は同じ言い訳をした。 「それで警察官と揉めて現行犯逮捕されたって言うのか?」  仕方なくシンゴが聞き返した。 「ええェ、残念です。まったく」  なんとも都合の良い話しだ。 「殊勝なことを言うな。ムカつくヤツだなァ!」  相変わらずマリアはケンカっ早い。  だがこれでは、いっこうに埒が明かない。
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