ブラッディフール

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ブラッディフール

 犬野巡査の言うことももっともだ。 「ええェ、そうですねえェ。彼が犯行現場に居合わせたのは防犯カメラの映像に残っている。それは間違いない」  シンゴも納得していた。アリバイはないに等しい。 「ええ、それも一件じゃない。一件ならば偶然かもしれない。でも三件ともすべてです。それも三件目は、ボクと格闘して逮捕したんです。これはもう真犯人以外ないじゃないですか?」  犬野巡査の主張もわからなくはない。  その通りかも知れない。 「ええェ、ですが、こうも考えられませんか?」 「はァ?」 「笑う宇宙人は真犯人に怨みを抱いていた。そしてウィークエンド、真犯人を尾行しているウチに見失った。そこで右往左往している最中、ブラッディフールは派手な身なりの風俗嬢を拉致し多目的トイレに連れ込んで暴行し殺害した。その後、パトカーが来て被害者を搬送する途中、彼は野次馬に混ざって防犯カメラに映ってしまった」 「ぬウゥッ、そんな都合よくですか?」 「ええェ、三件目の前田さんが被害者の時も。彼はウィークエンドにブラッディフールを尾行していたんですよ。だが、また尾行をまかれブラッディフールは公園で金髪の風俗嬢、前田レイカさんを拉致し、多目的トイレで凶器のナイフで刺し殺したんだ。そして『笑う宇宙人』が近くで探していたため、真犯人は慌てて逃げ出したんだ」 「ンうゥ……」 「そして『笑う宇宙人』は、多目的トイレの中で被害者女性の前田レイカさんを見つけ、傷口を塞ごうと被害者の胸元に手を当てていたんだよ!」  シンゴが推理した。 「そんな…、まさか。そんな都合よくボクに見つかったと言うのか?」  
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